IEEPA関税違憲判決と退款完全ガイド:DHL利用者が知るべき返金の実態
何が起きたのか
2026年2月20日、米国最高裁判所は6対3の判決で、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税の賦課は大統領権限を超えており違憲であると判断しました。これを受け、2026年2月24日午前0時(米国東部時間)より、IEEPAに基づく関税は米国への輸入貨物に適用されなくなりました。
なお、Section 301・Section 232など他の関税プログラムはこの判決の影響を受けず、引き続き有効です。また、トランプ政権はIEEPA無効化後にSection 122等の既存法令を活用して一部関税の維持を図っており、今後の動向は引き続き注視が必要です。
退款(リファンド)はいつから始まったか
CBP(米国税関・国境警備局)は、CAPE(Consolidated Administration and Processing of Entries)システムを構築し、2026年4月20日よりPhase 1の申請受付を開始しました。
Phase 1の対象範囲:
- 正式通関($2,500超または他省庁対応が必要な貨物):2025年3月22日〜2026年2月24日に納付した関税
- 簡易通関(電子申告による$2,500以下の貨物):2026年1月30日〜2026年2月24日に納付した関税
ただし、Phase 1では実質的に正式通関($2,500超)が中心です。$2,500以下の小口貨物(非正式通関)の退款処理はPhase 2以降に拡大される見込みで、現時点では対象範囲が限定的です。
また、以下の貨物はPhase 1から除外されています:
- アンチダンピング・相殺関税(AD/CVD)が課されている貨物
- リコンシリエーション対象の貨物
- すでに清算・確定済みの一部エントリー
DHLがIORの場合:自動申請される仕組み
DHLがIOR(輸入者記録)として通関手続きを行った貨物については、DHLが自動的にCBPへ退款申請を行い、返金が確定した場合はDHLから支払元へ返金されるとDHLは案内しています。
ただし、退款が実際に処理されたかどうかは、DHL MyBillの請求明細を自分で照合して確認することを推奨します。具体的には:
- DHL MyBillにログイン
- 該当期間(2025年3月〜2026年2月)の関税請求書を確認
- 関税・諸費用の欄にクレジット(マイナス計上)が発生していないかチェック
- 「Entry Type」が記載された関税請求書を開き、IORがDHLになっているか確認
CBPの処理には申請後60〜90日程度かかるとされており、すぐに返金が反映されるわけではありません。
自分がIORの場合:CAPE申請が必要
DHLが通関代理のみを行い、IORが荷主(あなたの会社)である場合は、自分でCBPのACEポータルからCAFE申請を行う必要があります。DHLが通関代理であっても、IORが自社の場合は自動申請の対象外です。
重要:CBPはACH電汇のみで退款を処理します。小切手は発行されません。 退款を受け取るには、事前にACEポータルでACH退款用口座を登録しておく必要があります。登録なしでは退款を受け取れないため、必ず事前に設定してください。
申請手順:
- CBPのACEセキュアデータポータルにアクセス
- ACEアカウントを開設(未登録の場合)
- ACH退款用口座を登録
- CAPE DeclarationというCSVファイルを作成・アップロード
- 対象エントリー番号・納付税額・支払日などを記入
申請はIOR本人または通関業者(カスタムブローカー)が代理で行えます。なお、1つのCAFE Declarationで最大9,999エントリーまで申請可能です。
2026年6月時点の最新状況と法的課題
退款プロセスはまだ進行中で、重要な法的論点が残っています。
2026年5月29日、CBPは米国国際貿易裁判所(CIT)に対し、すでに清算・確定済みのエントリーについては返金の法的権限がないと主張し、普遍的差止命令への上訴を表明しました。
清算済みエントリーを多く抱える事業者にとっては、今後の裁判所の判断が退款の可否を左右する可能性があります。LogiWatchでは引き続きCBP・CITの動向を監視します。
まとめ:今すぐ確認すべきこと
| 状況 | 対応 | |------|------| | DHLがIORの場合 | DHL MyBillの明細を定期的に確認。返金処理には60〜90日かかる | | 自社がIORの場合 | ACEポータルでACH口座を登録→CAPE申請が必要 | | $2,500以下の小口貨物 | Phase 2以降の案内を待つ | | 清算済みエントリー | CBPとCITの法的動向を注視 |
免責事項: 本記事の情報は執筆時点(2026年6月)のものです。IEEPA退款に関する法的・行政的状況は現在も変化しています。最新情報はCBP公式サイトおよびLogiWatchの更新情報をご確認ください。本記事は法律・税務アドバイスを提供するものではありません。